愛馬が突然に…2023年06月14日

数日前、乗馬倶楽部で毎週騎乗していた馬が亡くなった。

朝、倶楽部に行くと「毎週いつも一緒だった馬よね、迎えが来る前にお線香をあげたほうが…」と突然声をかけられ、何のことか理解できなかった。
馬房の入口にシートをかけられた大きなものが…その前に急ごしらえの献花台…写真を見るとそれこそここ数年いつも一緒だった愛馬(自馬ではないが)のJくんが…頭に手をやるとまだ少しぬくもりが…。

驚きと悲しみが一緒に押し寄せてきて、しばらく言葉を失う…あまりに突然で頭の中は真っ白に…。

馬によくある消化器官の疾病(疝痛)だそうで、昨晩まで治療し様子をみていたところ今朝眠るように…とのこと。苦しまなかったということだけで少し安堵するが…。

2012年U.S.A生まれ、8歳まで競技にでてからこの倶楽部に入舎。
ここ数年かけて、やっと走ることから馬術の動きに慣れコンタクトがとれるようになってきた。経路練習も少しずつ馬に負担のないようにポイントで取り入れてきたばかり…倶楽部にとっても期待の星だったろうに…。

何しろ元気がよくやんちゃだったこともあり、多くの人に良くも悪くも想い出を残してきただろう。自分の主張はよく甘噛みでアピールしていたので取り扱いが少し難しいところもあり、最近は馬房に「噛まれないように注意」の看板が取り付けられ「要注意馬になっちゃったよ」と大笑いしていたところ…。

その後の他の馬の騎乗でも、Jくんの癖が蘇り何度も呆然とした。
すぐ後に新馬のSくんほか数頭でいつもの馬場で騎乗、背中にいるのにもかかわらず、いつになく数頭で嘶いたりしてたけど突然仲間がいなくなったことに何かを感じることはあるのかな~話をきいてみたい。

命あるものいつかは…わかってはいるけれど突然で若すぎる…最後に見送ったこともあり、しばらく喪失感は続きそう…空の上で仲間たちとどうか安らかに眠ってね。

新馬(6歳)に騎乗する2023年03月13日

馬房にて6歳の新馬
昨年、倶楽部に黒鹿毛の若いセン馬が新たにやってきた。
2022年7月までレースにでていたそう…そしてSくんは秋から倶楽部の仲間になった。

若い上に競走馬だったこともあり、とても元気があり力も強い。
馬の年齢のことを馬齢(ばれい)と言うそうだけど、馬の6歳は人間に換算すると25歳くらいだそう。競走馬としての能力は4歳くらいがピークだそうで、その後はまだ若いのに古馬(こば・ふるうま)とよばれるらしい。

第2の馬生を乗用馬として生きていくには、これからお仕事もしなければならないので、個性の強い馬にとっては気疲れなんかないのかな~などと人間の子供のように心配をしてしまう…というのも、まだ子供のようなフワフワな毛並みと丸い目の可愛い顔で、僕は馬術なんてまだ何も知りません的な振る舞いがなんとも愛らしいのだ。そして、馬房に新しいオガ屑がいれられると、その上でゴロゴロするのが好きらしく、いつもきなこ餅のようにそれにまみれているので騎乗前にブラッシングがかかせない。

みんなその姿をみると自然と笑顔になる。先日も初心者クラスの指導員が「この子は自分のクラスに欲しいな~」と言うと、フリーで騎乗する上級者クラスの馬なので、そのレッスンを受けている人が「絶対にこの子はあげませんよ!!」などと微笑ましい会話をしていた(笑)

騎乗すると直線は前進気勢もすぐにでて力が漲っているけど、輪乗りなどに必要な内方姿勢というカーブをまわる姿勢にまだ慣れていないようで体が硬い。乗用馬としての調教は受けているのだろうけど、生まれてから直線を早く走ることを求められてきたのだから仕方ない。

とはいえ、あまり甘やかしてもいけない。
ここ数年騎乗しているJくんも数年前は同じような新馬だったけど、今では乗る人によっては尻っ跳ねをしたり騎乗拒否をしたりするようになってきた。10歳になりもう馬場の動きもかなりできるけど、人の多い週末に他の馬が近くを走っていったりすると自ら後に続け~とばかりに走り出すこともあるので、こちらもまだまだ気が抜けない。

両者とも騎乗する人の騎座や手綱さばきも問われ、正しい騎座がとれていなかったり、姿勢が悪いと動くのを止めてしまうこともある。それだからこそとてもよい先生でもあるのだ。

これから輪乗りの継続やゆっくりとした駈歩、スムーズな歩度の移行など…自分と馬の力の入れ具合やタイミングなどいろいろなことを計りながら調和していく練習が続くだろうな。

初乗り やんちゃな馬との駆け引き2023年01月08日

新年 初乗り 馬房にて
今年の初乗りは、年末年始の休暇から10日後。

相棒はいつものやんちゃなJくん。
久しぶりの騎乗で、馬が動き出してすぐに手綱を握る力が弱っているのに気付いた。なんだか体幹を維持する力も低下したみたいで、パワフルなJくんの動きに手綱をもっていかれる。それでなくても頭を下げやすい馬なのだ。

手綱に余計な力を入れてはいけないのだけど、騎座で受ける力が弱くなっているのに気づいたのか、賢いJくんは手綱を緩めようと頭を下げて、こちらの様子をうかがってくる。常歩から速歩に歩度を変えると、少しの距離しか騎座の安定が維持できなくて手綱を引いた形になり、腕も脇につかずに伸びてしまう。数日使わないだけで筋力が低下してしまうことを思い知らされた、そして馬に乗るのに必要な筋肉は普段の生活では中々使わないよな~などと考えた。

正しい扶助と姿勢で騎乗できれば、スムーズにハミもとれ、脚の力と騎座のバランスだけで回転もできる相棒なのに…。

パワーのある馬は、コントロールするのに手綱だけが強くなっても反対に引っ張られるし、かといって馬なりに走られても制御できなくなる。その間のちょうどよい力の入れ具合を探り、折り合いをつける駆け引きが続く…今日はそれに時間を費やしてしまった。今月は、しばらく馬の上で特に骨盤周りの筋力を回復させながらの練習になるだろうな~。

今年の初乗りで馬が笑う?2023年01月07日

今年の初乗り前に馬房に挨拶まわりに行くと…。

相変わらず馬体の大きなS嬢に挨拶すると、写真のような顔に…毎回笑える。よくこんな顔をする…大きな顔で長い歯茎をだしていて思わずいつになく持っていたスマホで撮影。離れたところからでも匂いに敏感らしい。

この顔は「フレーメン」と言い、笑っているわけではないのだ。
匂いに反応して起こす行動で、私がいつも騎乗前にハーブティーやのど飴を口にするからかもしれないな~。それらに反応して匂いを敏感に感じ取ろうとしているらしい。それにしてもすごい歯と顔だなぁ。

2000年生れの牝馬。もう23年も使っている歯は化石のよう。
馬の歯は乳歯が生えて大人の歯に生え変わるのは人と同じだけど、雄と雌で数が違うのだそう。草をかみ切るようにクワのような形の切歯、ウスのようにすりつぶす為の臼歯があり、一生伸び続けるけど草などを食むことで擦れていき、虫歯にもなりにくいらしい。

そして、今年の初騎乗はいつものように10歳馬のやんちゃなJくんでした。10日間も年末年始の馬場の休暇があると、馬の手綱を持つ力と、馬体の上で自分の体幹を保つ力が…私の筋力がみごとに衰えていたことに気づいた新年早々でした(-_-;)。

乗馬を続けて~16年目に突入2022年11月25日

乗馬クラブにて
馬に乗り始めてから早いもので15年が過ぎた。

馬に乗る目的は人それぞれだけど、競技会で数字を追いかけるよりも馬と調和しながら共に楽しむ道を選んだ。毎回、馬の調子を見ながら今後の目的に合わせて調教しながら一緒に練習する日々…。

写真は、ここ数年騎乗している牝馬S嬢。
クラブ一番鼻っ柱が強い牝馬で、中々人のことをよく見ているんだな。

そしてとてもパワフルな姿をしている。馬体が普通の馬よりひと回りは大きく幅と高さもある。初めて背中に跨った時は、まるで股関節のストレッチをするのかというようで、脚での合図どころではなかったのを思い出す。

最初に馬房の中にいるS嬢に会った時は、窓の外を眺めこちらにはお尻を向けていた。声をかけても目だけでこちらをチラリと見るだけで振り向きもしない。入口近くにある水入れのところをトントンと鳴らし人参のスティックを見せると、ようやくこちらにやってきたが、かなり警戒しているのがわかる。

敵意がないことをわからせてから、ようやく馬装をし馬房から馬場に連れて行こうとしても初対面で信頼関係ができていないせいか中々動いてくれなかった。

そして、馬場に行ってもこの人は何をするんだろうとばかりに重く動かない。馬が動かないのではなく、この馬に適した扶助を私ができなかったせいだ。

馬との関係を築くためには気力や覇気も必要で、こちらに不安や遠慮があるとすぐに見抜かれる。休んだりさぼったりしても大丈夫だと思われてしまうこともあるからだ。そうかといって、鞭などで強い合図を送ろうものならさらに関係が悪くなる。人との付き合いでも同じだと思う、調和をするためには少しずつ距離をつめていくしかないのだ。

それから約2年、今は近くに行くと馬房の入口から鼻先を出してくるほど仲良しになれた。馬場ではもちろん、軽い扶助で動いてくれるまでに。

ここまでが長かった…それでもまだまだこの大きな馬の動きに軽く合わせられるようになるには、腹筋や背筋、骨盤まわりの筋力をもう少し強化しないと手綱をとられてしまう。けっして綱引きにならないように腰を張ってはいるのだけど力足らずで手綱を継続して持ってあげられないこともしばしば。

馬力とはよく言ったもので、馬とではなく自分の筋力や持続力との葛藤は続く…。

大きく力もある馬の後にスマートな馬に乗り替わる時は、Sよりは軽々と乗れるようになる。それでもクラブ一番やんちゃな馬のコントロールに軽いが故に悩まされることになるとは…。

馬の博物館を訪れる2022年06月12日

馬の博物館にて
以前から行きたかった横浜にある「馬の博物館」を訪れた。

馬歴史から骨格、馬に関する資料がたくさん展示されている。

「馬」に焦点をあてた初めてのやなせたかし展が開催されていて、馬とかかわるようになった歴史が興味深かった。アンパンマンの作品では有名だが、童謡「手のひらを太陽に」を作詞したこと、サンリオの挿絵や帽子のリトル・ボオなどの作品などはあまり知られていないかもしれない。雑誌「詩とメルヘン」は、よく手にしたことがあり懐かしい。フレーベル館の月刊絵本「キンダーおはなしえほん」の一冊から「あんぱんまん」が発表されたそう。

戦時中に馬の世話をしてから、作品は何度も登場する馬たち。やなせ氏の馬との出会い~そのかかわりまでを知ることができた。

馬の博物館
https://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/

春季特別展 馬とメルヘン やなせたかしの世界
https://www.bajibunka.jrao.ne.jp/.../event_20220318.html

写真はFBのアルバムに
https://www.facebook.com/photo/?fbid=5377834188943159&set=pcb.5377836158942962

乗馬-馬の性格もいろいろ2021年11月01日

毎週、通っている倶楽部で騎乗する馬は、練習の内容に合わせて配馬してもらえるのがありがたい。ほぼ毎回決まった馬に乗ることになるのだけど、人と同じでそれぞれの性格が違うのでおもしろい。

S嬢は、オランダ生まれの21歳。貫禄ある馬体で甘えん坊。
障害も飛んでいたことのある大きくボリュームのある馬。
馬体が大きいのに頭を下げるくせがあり、練習では後躯を動かしながら頭を上部に安定させての推進の継続に苦労している。

Jくんは、U.S.A生まれの元気な9歳馬。とても食いしん坊。
元競走馬だったこともあり反応もよく、うまく制御しないとかなり動きが早いので、馬も馬術仕様のゆったりとした駈歩などの練習中。

Pちゃんは、来たばかりのころは馬場に一番先に出て仲間がいないとわかるとヒヒーンと泣いてたビビりの馬。あちらこちらをうかがっては耳を倒してそわそわしていた。それが最近はまわりの様子や仲間たちとの力関係もわかってきたのか、葦毛の馬にちょっかいを出すようになって…内弁慶か…。

先にSに乗ってからJに乗り替わることが多いが、このSという馬がかなり大きな馬体をしている。騎乗するとJの2~3割増しくらいは横幅があり、その背に乗って馬体に内腿をつけての脚での制御は腹筋背筋はもちろんのこと、股関節と骨盤周りの力をかなり使うことになる。そして、頭を下げがちなので手綱にかかる力もとても強いが、綱引きをしないようにハミをとらせて制御しなければならないので気が抜けない。

その後にJに乗り換えると細身なので楽なこと…。まるでSで最初に股関節を思い切り使ってのストレッチをしてからJに乗るようなパターンが定着している。

ある日のこと、私が騎乗する前日にPちゃんが他の馬にちょっかいをだしたらしい。その被害にあった馬に乗ることに…数頭で馬場にいると他の馬が近づいてくるだけで、またやられるとでも思うのか耳を伏せその場で急に止まったり、速歩になったりと…その日は馬を落ち着かせることに始終した。

馬場での騎乗も終わり馬を厩舎に帰すと、なんと休むべき場所がPちゃんの前の馬房なのに気づいた。ゆっくりとできないのではと思っていたら、案の定翌日には他の厩舎に引っ越しとなり、Pちゃんとはしばらく顔を合わせることもないようで少し安心する。

その次の回は今度はPちゃんに乗ることに…少しの扶助の違いでも全く動かなくなることもある馬だけど、他の馬についていきやすいことを利用してタイミングをはかって推進の合図をする。けれど、前の馬に近づきすぎてもちょっかいを出すような仕草を数回したので、いけないということを教える。…といっても、軽く襲うような動きなので自分もバランスを取りながら体勢を整え、だめだと合図すること数回。

馬も仕事とはいえ、人が騎乗する時には少しでもストレスや痛みを与えないようにしないといけない。それにしても人間と同じく馬の世界にもいろいろあるようだ(-_-;)

乗馬-初落馬で衝撃をうける2021年09月10日

乗馬につきものと言われる落馬だけど、未遂が何度もあることを書いてきた。
そして1年前のある日乗馬歴15年目にて、ついに唐突に衝撃のある初落馬をしてしまった。

馬術の練習をする馬場のあるクラブ、十数年の間に家族の都合や気象の変化で何度か場所を変わってきた。昨年は新たなクラブに移籍。そこは、馬場が広いこともあり会員数も多く部班がメインのレッスンとなっていた。2~3カ月通ってからは、こちらの技量も確認されフリーでの騎乗が認められ、広い馬場で一人で自由に練習を続けることができた。(部班とは、数名で同じ馬場の中をまわる練習のこと)

それでも時々基本姿勢や馬への扶助などを確認するために、フリー練習の合間に部班に参加した時のこと…。

数名での駈歩のレッスン、前の馬との距離は2~3馬身離れて走る。数分の常歩~速歩のあと駈歩に移行するのだけど、駈歩のクラスというだけで全員が馬の速度のコントロールができているわけではない。鞭を使い馬をちょっと脅かすようにスタートする人や馬なりに走られている人もいるわけで、半減却という抑えた推進力を使ってゆっくりとスタートするまで慣れている人は中々いない。

そんな中、数周くらいまわったところの隅角(コーナー)で前の馬が騎乗者の脚の強さに反応したのか、後ろ脚を何度も跳ね上げてきた。そのすぐ後ろにいた私の乗った馬が驚き、勢いよく横に移動してから踵を返して走ろうとしたとたん、遠心力で外側にみごとに落ちてしまった。予測できなかったあっという間の出来事、ブレーキとなる脚や手綱を握る間もなかったと思う。初落馬~前出の線の細いビビりの牝馬に騎乗していて踏ん張りどころがあまりにもなかった。

馬場での練習の時は、障害を飛ぶのでもないためヘルメットは必須だけど、ここ数年ボディプロテクターはつけていなかった。瞬時に少しの受け身を取っていたのか肩から背中にかけて着地したけど、衝撃は胸骨の脇まできていた。起き上がろうとすると前の肋骨の下部に鈍い痛みを感じた、なんとか大きな呼吸はでき胸を少し開いて激痛がないので、ゆっくり立ち上がり馬の手綱を取った。

そして、1分くらいゆっくりと深呼吸し馬に再騎乗し継続した。
馬が走りだす前にその場で落ちたのは運がよかったのかもしれない。

騎乗後は痛みもあまりなかったのでそのまま帰宅した。
それでも、1.5m近くの高さから受けた衝撃で何事もないことはなく、深い呼吸をすると少し胸に違和感が…大きな呼吸や咳をすると肋骨のあたりに少しの痛みを感じる。骨折はしていないだろうけど、ヒビがはいっていたりすると治るのに時間がかかるので、すぐに手元にあったマジックテープのついたバンテージで固定して過ごすことに。

数日してから…頭を打っていなかったのと肩などに打撲もないため、肺呼吸に問題ないか確かめてから馬場での練習を再開した。ここで少し休んで1週間でも何もしないと、馬の上で自分の体幹を安定させる力や脚力などがテキメンに落ちる。筋力がつくよりも落ちるほうが早い年頃なのか…。

その後は、部班にて余裕なく駈歩をしている人の後ろに着くのが気になり、少しトラウマになってしまったようだ。前後に人がいると馬間を気にしなければならないので、部班の時は指導員が順番を一番前か後ろにしてくれるようになった。しばらくしてからも前の馬を気にすることは続き、その日の馬に合わせた練習ができないばかりか、前の馬に目線を合わせるので姿勢が悪くなる。そのため部班でのレッスンはあきらめ、フリー騎乗だけに。

駈歩をするのもいいけど、「ただ走ればよいというものでもないのにな~」と疑問符がたくさん頭に浮かんだ。でもクラブでは楽しんで馬に乗るだけでよく、難しいことなど気にしないでとにかく走るために来ている人もいるのかもしれない。「広い馬場で練習をするレベルなら最低限の基本はマスターしていないと危ないのにな~」と、それぞれ馬に乗る目的が違うことを改めて知った日となった。

それから通う馬場を変え、今はフリーでもきちんと基本をチェックしてくれるところで練習ができる日々…少し落ち着いてきたところだが…ヨーロッパ育ちの馬術の得意な馬体の大きな馬も登場してきたりして…こちらの体力や筋力、からだの柔軟性(特に股関節)を維持するのに四苦八苦する日々が続く…。

乗馬-落馬未遂 その42021年07月23日

長いこと乗馬を続けていると、落馬未遂が何度もあるものだ。

今回は馬の扶助に関するトラブル。馬にも知性がある…納得いかないことをされれば、それらしい素振りをするし怒りもする。

初めて馬に乗った時、前に馬を動かすために「脚でお腹をポンと蹴ってみて」と言われることも多いと思う。そのまま脚の合図は蹴るということだと思い込んでいる人はかなりいると思う。私も長いことそう思っていた。自由に馬場での運動ができるようになり、馬術の練習をする前までは馬のお腹をポンと蹴って推進していた。

それが正しく馬をコントロールするための扶助(合図)をマスターすることになったとき…具体的に説明するのは難しいが、例えるなら前進は「バランスボールを内腿ではさんで少しジャンプしながら前に進むような動き」とでもいうのだろうか。とにかく膝から下、特に足首などにはそんなに力を入れ続けない、そしてどっかりと馬の背に座ることもない。内腿で挟んで、頭を上に伸ばす感じ。腹筋に力を入れ、背筋を使って馬の上でバランスをとる。ブレーキも手綱を強く引くのではなく、軽くにぎり体幹と騎座を使ってスピードコントロールをする。そうかといって、自分の動きは馬に随伴するので身体が固くなってもいけないと…。

これをマスターするまでの大変なこと…何が大変かというと長いこと身体に記憶されている動きをこの年で矯正することの難しさ。自分との闘いでもある。

■イケイケ駈歩の男性騎乗者の後ろで (乗馬歴13年ころ)

ある駈歩レッスンの日…馬術のような抑えた感じのゆったりとした乗り方ではなく、とにかく威勢よく駈歩で早く周りたいと思って倶楽部に来る人もたくさんいる。そんな人に限って、よく馬のお腹を蹴る…そして馬に跳ねられる…落馬…というパターンを繰り返している。

調教された練習馬によってその許容量もちがうと思うけど、駈歩が調子よくできる馬にしてみれば、強く蹴られるのは怒られるようなもの。乗っている人はもっと早く進めと脚に力をいれるけど、納得のいかないところで力を入れられれば「何をするんだ」とばかりの行動にでる馬もいる。

またもや私の前を馬なりの駈歩で思い切り走っている男性が、馬に後ろ脚を跳ね上げられ落馬した。いつものパターンに慣れ、こちらも少し距離をとっていたけど、コーナー近くで距離が詰まった時、突然のことに騎乗している馬がびっくりして横っ飛びした。

私が乗っていたのは、誘導場の仕事もしていた華奢な体格の牝馬で背中の面積も狭い。蹄跡とはいえコーナーで横っ飛びされて、いつものようにズルりと片側に滑り、何とかバランスを保とうとしたけど、何しろ背中の踏ん張りどころが狭かった。次に馬が動く前に鐙をはずしてピョコンと飛び降りた。片足での着地で軽く尻もちをつくが、すぐに馬の手綱を取りに行った。(馬が手綱なしに走ったり他の人に迷惑をかけないため)

このあと気づいたのは、倶楽部にきていて駈歩の練習をしているとはいえ、みんな目的や目指しているイメージが違うということ。

広い海辺の海岸線を白い馬で颯爽と走っていく…。
少し前の西部劇のワンシーンのようにワイルドに馬を操る…。
馬場馬術の演技を見て美しい乗り方がしたい…(私はこちら)
何人かで数頭の馬が並んで同じ線上運動をしたい…。

…と乗馬をはじめたきっかけのイメージは人それぞれ…とにかく基礎がいちばん重要になるのはもちろんだけど、違う行動イメージを目指している人たちが広い馬場で一緒に練習しては危ないこともあるのでは??? という疑問でいっぱいだった。

それからしばらくして、この馬で本格的な?初落馬をすることになる…つづく。

乗馬-落馬未遂 その32021年07月10日

長いこと乗馬を続けていると、落馬未遂が何度もあるものだ。

乗馬倶楽部のレッスンは、部班という数名が数頭の馬で同じコースを指導員の声掛けのもとまわる形式が多い。

長年騎乗していて、ある程度馬のコントロールができるようになると、広い馬場を一人で騎乗してもよいという許可がでて、自由に練習することができるようになった。

それでも数回に一度は、部班に入り自分の練習が独りよがりにならないように確認する。そんな部班のレッスン中のひとこま…レッスンの途中で走って厩舎に帰ってしまった馬がいた。

■立って跳ねて厩舎に走って帰る馬を見て踵を返す。(乗馬歴13年ころ)

経路が回れるくらい広めの馬場にて数名で駈歩のレッスン中、私の前を走っていた馬がなんらかの理由で立ち上がった。

隅角(コーナー)手前で減速するところタイミングを逃したのか、騎乗している人の手綱を持つ手が強くなったのか、馬はそのまま二本足で立ったまま真上にジャンプして、乗っていた人がみごとに落馬した。というか落とされた。あっという間のできごと。

馬が二本足で上にジャンプする場面なんて初めて見た。
そのあと人は落馬してしまったけど、今度は後ろ脚を蹴り上げた後さらに跳ねてからスタコラと厩舎に走って帰ってしまったのだ。

そして、その時それを見ていたのが、後ろにいた私が乗った馬。
急なことにびっくりし、同時に馬がクルリと踵を返した。
まさに「踵を返す」という言葉がぴったりの場面だった。

その背の上で、急に回られた私は減速はできていたけど身体半分が遠心力で左側に落ちかけていた。とはいえ、足はまだ鐙の上に…鐙に力を入れて馬の首につかまりながら、背を中心に反対側になんとか乗りなおすことができた。

その時、指導員からの「よく耐えました~」の声が…笑えない(-_-;)
減速できていなかったら、遠心力で確実に落ちていたな~。

それから「ジャンプからの落馬って、痛いよね~」などと思っていたら、騎乗していた人は馬を連れ戻し、他の馬場で乗りなおしていたのにはびっくりした。そのまま帰してしまうと、馬に人を落としていいと教えるようなものらしい。それにしても、騎乗している人の脚の合図や座骨のあたり具合、手綱でハミを強く引っ張ったなど、もう乗せてられないくらい気に障ったのだろうな~

部班もたまはいいけど、他の人馬の動きを先読みしないといけないし、馬に不快感を与えない乗り方をしないとな~と改めて悟った日…つづく。

(乗馬年数での記録は、もう騎乗鞍数など数えていないため)