祈り・藤原新也~世田谷美術館2022年12月15日

祈り・藤原新也
世田谷の砧公園にある美術館で開催されている藤原新也氏の展覧会に行った。

多くの人が一度は目にしたことがあると思うけど、会場で大画面に引き伸ばされたインドの写真は、かなりインパクトがあった。聖地の河原での風景、ガンジス川辺で行われている火葬…。

犬が人の遺体を食べている写真は衝撃的すぎて…。
「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」…って強烈!

「生を想え(メメント・ヴィータ)」
人とその生に対する真正面からの問いかけ。
会場内を振り返り…思わず頷きたくなる。

藤原氏の作品に出会ったのは、もう数十年も前のこと。
日本野鳥の会から発行されていたフリーマガジン「Toriino」に、毎号藤原氏の写真と文章が見開きで掲載されていたのだ。残念ながらすでに廃刊になっているけど、毎号楽しみにしていたのが懐かしい。
https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/toriino/

ちなみにToriino(トリーノ)2006年の第1号(12月発行)より

人の世は出会いかも知れない。
人は人に出会って人になる。(誌面より)

写真の傍らにある文章がなんとも自然体で且つインパクトがある。テキストを添えられた写真から物語が溢れ、より存在感を増すからだろう…。各号には前田真三氏、濱谷 浩氏、土門 拳氏、岩合光昭氏、澤田教一氏、先日写真展に訪れた星野道夫氏なども同じく写真と文章が掲載されていた。

会場の片隅に「バリ島のマユゲ犬」の写真が…思わず笑ってしまった。

藤原氏の「藤原悪魔」の表紙にもなっている。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163544403

そのユーモラスな顔で地域の人に可愛がられ、笑みに囲まれまわりの人によって犬格が出来上がったとも言われた犬…動物記やエッセイの著もある藤原氏…絵も描き、文章もさらりと…なんと多才なんだろう。

以前から作品には注目していたけど、こんなに近くで大規模個展が開催されるとは、昼下がりに思わず足を運んでしまった。都内はぽかぽか陽気で、美術館近くの木々には紅く染まった葉が残っていてきれいだった。

現在も続く 「メメント・モリ(死を想え)」

世田谷美術館 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
企画展 祈り・藤原新也
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00211

◇展覧会のみどころより-----
・公立美術館初の大規模個展
これまで写真サロンやギャラリーで数多くの個展が開催されてきましたが、公立美術館で大規模に開催される個展は今回が初めてです。250点以上の写真と言葉により、50年以上にわたる藤原の表現活動の軌跡を俯瞰する初の機会となります。

・作家自身の眼で厳選された作品による、「祈り」の壮大な物語
本展は藤原の集大成ではありますが、主要な仕事を時系列で紹介する、たんなる回顧展ではありません。「祈り」というキーワードに基づいて、現在の視点から藤原自身が改めて厳選・編集した、新たなストーリーを持った展覧会です。

・迫力の大画面写真と書き下ろしの文章
大きいものでは3mの大画面に引き伸ばされた写真に、本展のために書き下ろされた文章が美しいレイアウトで添えられています。広い空間に大迫力の写真と言葉が並び、書籍や写真集で「読む」のとは一味違う、展覧会ならではの鑑賞体験ができます。

「企画展 祈り・藤原新也」は一部を除いて撮影が許可されていました。
写真はFBのアルバムに
https://www.facebook.com/photo/?fbid=5853218024738104&set=a.5407110696015508

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