乗馬-馬に乗る前に蹲踞のポーズ2021年09月16日

父はトウカイテイオー
自分の日常の生活によって身体バランスが崩れていないか…いつも馬に乗る前には身体をほぐしながら確認をする。馬の上で自分のバランスが崩れていると、自分の体幹移動の結果で馬が外にふくらんだり内側に入ってきたりするので、どちらに傾いているかがわかりやすい。(よく馬のせいにしている人もいるけどね…)

お相撲さんが試合前に土俵でとっている蹲踞(そんきょ)というポーズがある、多くの武術や神道にかかわる身体姿勢の基本となっていて、上半身を安定させるための馬上での基本姿勢にも似ている部分がある。体幹バランスが崩れたままポーズをとると、ぐらぐらと身体が安定しないのですぐにわかる。

馬上では、座骨を意識して鞍にまたがり背筋を伸ばし重心は低くする。頭の位置は背骨の延長線上から落とすことなく鐙を踏んでいる足のところまでを常に一直線に保つ。けっしてどっかりと座ったりすることなく。腕の位置も正しく脇にそろえ手綱を持つ際は脇はしめる。そして馬の動きに合わせると、必然的に内腿で馬体を挟み、脹脛で扶助をする形になるのだ。

実際に蹲踞をやってみた人はわかると思うが、腰を落とした状態の両足を開いて、自分の背筋を伸ばすだけでもバランスが崩れていると難しい。ただしゃがんでいるだけではなく、大きな体の力士などはよく上半身を安定させていられるものだと感心する。

頭を背骨のカーブに合わせて真っすぐに乗せるという動作は、前にも後ろにも倒れてはいけないので、必然的に腰ではなく骨盤とお臍の下あたりの丹田を意識し、肩には力を入れずに少し伸びあがるような形になる。そして重心は低くそのままの姿勢を保つ…けっしてお腹を突き出したり、あごを前にだすこともなく…文章にするとこれだけでとても難しく集中力がいるイメージかな~。

また、相撲での四股を踏むようなスクワットでも、股関節をほぐしたり足腰の柔軟性を促すことができる。相撲で四股というと、邪気払いの力があるといわれる動作とか準備運動で足を上げる動作を思い浮かべるが、あらゆる武道や座禅などの準備で用いられることもある体幹トレーニングだろう。

どんなに大きな馬を動かす時でも、手綱や脚だけでの強い力は使わない。動く馬の上で自分の重心を整え、ささえながらコントロールするという動作の継続は、体幹にとってはよいトレーニングになっているのかなと思う。しばらく間が空いた時などは、とにかく股関節が固いと足の付け根が重くなり、このような大きな馬の動きにスムーズに随伴できなくなることを痛感する…。

そして、もうひとつの柔軟性は肩甲骨…こちらについてはまた今度。

馬術に関係なく、日常の中でトレーニングをしたり下半身や体幹を鍛えたい人は、一度蹲踞のポーズで自分のバランスをチェックしてみるのもよいかもしれない。