国立近代美術館にて「あやしい絵展」2021年03月25日

あやしい絵展
国立近代美術館にて「あやしい絵展」を観た。

「絵に潜む真実、のぞく勇気はありますか?」

そのときおりのうちに秘められた感情が醸し出す表情と物憂げでいて強い視線。一枚の絵から感じられる雰囲気は作者の意図という手先の表現だけでなく人間の強い欲望や様々な願望、時には怨念や恨みが作品から滲み出ている。

人の表情や手ぶり、姿勢や顔や頭の向きでさえも…こんなにも多彩な表現手段だということに改めて気づかされる。

自分の中の記憶でもない退廃的な意識、懐かしいでもないのに遠い風景の中の見えない香りだけが浮かぶ。そして決して奇怪感だけが表面にでた恐ろしいとか怖いとかでもない作品たち。幕末から昭和初期にかけて制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿絵の中から国芳から日本の画家たちに多大な影響を与えた西洋美術のミュシャまで多岐にわたる。

まさしく「妖しい」としか言いようのない不思議な作品が、こんなに多く存在し一同に集められていることに圧倒された。いつも日常で観る展覧会では中々経験しにくい、言葉では表現しにくい不思議な感情が湧き上がる作品群であった。

現代の私たちの心の奥底に潜んだ「何か」に語りかけているような気もする。

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